アリのおもしろい生態について、ご紹介します。


(2)身近ないきものアリの世界をのぞいてみよう

 野外で見かけるアリってどんなひみつがあるのだろう?

「私たちの自然」

2016年11・12月号

No.607  12-13頁

ダウンロード
わたしたちの自然(アリ).jpg
JPEGファイル 708.8 KB


(3)「くびれ」が大事!!狭い地下で生きるアリのヒミツとは?

 世界で一番「くびれ」がある生き物は、マライアキャリー?熊田曜子・・・?いえいえ、実は、小さな昆虫「アリ」なんです!

 えっ!アリにくびれがあるの?見事なくびれがあるんです!

 

 恐竜を含む多くの生物が絶滅した白亜紀に、アリは地下に逃げて生き残りました。狭い地下生活は、固い甲羅に覆われたアリにとって、とても過ごしにくかったに違いありません。巣を作ったり、幼虫の世話をしたりと、体が曲がらないことは不便でした。

 そこで、アリが獲得したのが、「くびれ」でした。

 私たち人間の場合には、背骨(脊椎という小さな骨が集まってできた部分)が体の中にあり、自由に体を曲げることができます。また、間接という骨と骨をつなぐ部分があり、そこで体を曲げることができるのです。


 昆虫は、体が硬い皮膚(キチン質)で覆われていて、ところどころにある節の部分で体を折り曲げることはできますが、細かい動きはできません。

 しかし、アリは、とっても細い「くびれ(腹柄節)」を獲得したおかげで、間接のように自由に体をいろいろな方向に曲げることができたのです!

一生のほとんどを地下の巣の中で過ごし、複雑な巣の中を自由に移動するためにも、腹部を色々な角度に折り曲げて動きまわれることが必要でした。

 アリの「くびれ」は、アリが進化の過程で得た究極の「かたち」だったのです。


(4)アリのオスとメスが生まれる仕組み

 地球上の多くの生き物は、「倍数性」という性決定様式をとり、オス・メスはともにゲノムを2組ずつ持っています。

 ところが、アリやハチなどの膜翅目は、「単数・倍数性」と呼ばれる性決定様式をもちます(右図)。お母さんとお父さんの両方の遺伝子を持つとメス(2n)がうまれます。お母さんの遺伝子だけをもつとオス(n)が生まれます。

 メスは、受精して、オスは未受精で生まれます。オスは、メスの半分のゲノムしかありません。

※興味をもった人は!